ハンザテウトニカ Hansa Teutonica レビュー

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デザイナー:Andreas Steding
Artist:Dennis Lohausen

プレイヤー数:2 − 5(推奨プレイヤー数5)
発売年:2006
時間:90分程度
言語依存:なし
【個人評価】★★★
(荒っぽさとひねりがあり、ゲームの面白い部分をプレイヤーに託してくれているというゲーム)

受賞歴
2010 ゴールデンギーク賞 革新的ボードゲーム部門 ノミネート
2010 ゴールデンギーク賞 ストラトジー部門賞
2010 ゴールデンギーク賞 ゲームオブザイヤー
2010 国際ゲーマーズ賞 ノミネート
2010 JoTa ベスト重量ゲーム ノミネート
2010 ドイツ年間ゲーム大賞 推薦リスト
2010: JUG ゲームオブジイヤー ノミネート
2011 オランダゲーム賞 ノミネート

ゲーム概要


フィレンツェ(Firenze)や「ニュルンベルク」を出したアンドレアス・シュテディングの作品。ゴールデンギーク賞を受賞したり、年間ゲーム大賞でも推薦されるなど各地のゲーマーに高評価であるが、このゲームの駄目なところをあげろということになるとすらすら出てくる。

まずは、準備の面倒臭さ。商会本部のデスクをみたてた個人ボードをまず用意するのだが、小さいコマを配置するのが面倒くさい。さらに先手有利を緩和するために、人数と手番順によって初期の業者コマ(トレーダー)と商人コマのサプライとストックの数を各自変えねばならない。他のゲームでは全員で共通のボードに配置するタイプが多いが、後々のことを考えると初心者でも自分で並べてもらう必要があり、この説明が面倒。もっというとルール自体もわかりにくくて、英語で読むのはけっこう辛かった。

つづいて、このゲームは特定のルートをつなぐと能力が上がるのだが、どう考えても最初はアクションの数が増えるルートに集中してしまう。熟練すれば他の能力を高めることで、補えるみたいだが数回やっただけではそこが分からない。

さらに、ネットワークをつないでいくゲームなのに、つなぎ終えると基本的にコマを取り除く。(都市にはコマを残すけど)だから、眺めていて、よりつながってる!とその並びを愛でる楽しさがこれで台無しになってしまう。などなど。

そういう理由で、押し入れで死蔵しかけていたゲームである。だいたいゲーム会する前に事前に試プレイをするのだが、いつも「あ、これは駄目だ」と思って引っ込めてしまっていたのである。
それでも、なんとかネバッてルールを把握し、やっとこさで5人プレイでやってみたのが去年の冬である。

もう少しルールの説明をすると、このゲームは商会主となって名声点を獲得するゲームである。名声点を獲得する手段は複数あって、都市に自分の事務所をかまえて都市を支配した上で、その都市と他の都市とのルートをもう一度つないだ時である。これで1ポイント入る。ルートは自分でつないでも、他のプレイヤーがつないでも良くて、何度でも同じルートを使ってかまわないのがポイント。ちなみに都市には複数のコマが置け、数が多いか、最も右側に置いたプレイヤーが都市を支配していることになる。さらにボーナスのルートがあり、スタンダールからアナハイムまで都市をつないだ形で商館を置いた場合は7名声点獲得できる。ケルンとウォールバーグをつないだ場合には唯一のボーナスゾーンがある。ここに商人コマを置くと名声点を多く獲得できるが、商人コマは数が少ない上に右側に置いていくには「特権」の能力をあげておかねばならない。誰かが名声点が20点獲得した時点でゲーム終了。他の終了条件は商館が10都市建った場合でも終わり、最後に、もろもろの得点計算となる。




そういう、コマをルートに置いていって都市を支配するゲームではあるが、ルートは都市をつないで名声点を稼ぐだけでなく、他の用途もある。このゲームの面白い所、あ、やっと面白いと言えた。レベルアップシステムである。





各商会にはそれぞれ能力があり、特定のルートを独占してつなぐことによってレベルをあげることができる。ルートをつないだときは、自分の色の商館を置くか、能力をあげるかのどちらかを選択できる。最初に個人ボードに準備したコマはこの為で、レベルが上がるとその箇所のコマを取り除くことで自分の今の能力レベルが分かるようになる。何かこの辺も個人的には取り除くのではなくて足す動きとしてほしかった。予定調和みたいでちょっと盛り上がらない仕事感がある。

能力は5種類、ゲーム終了時の得点計算時に最長ルートを倍々にする「鍵」やさっき言ったアクションポイントを増やす「アクション」それから色のついた場所にコマをおけるようになる「特権」そして大ごまの商人を追加しコマを移動できる数を増やす「知恵の書」、そしてコマのストックを増やす「金袋」がある。最初のコマの数は限られているので、この金袋も結構重要である。こうして各レベルをあげつつ、ルートを開拓していく。

もうひとつ、わすれてたが、道に銀食器に肉が落ちていて(笑 ルートを独占すると落ちてたチップを獲得できる。得点にもなるし、能力をあげたりできて、これがばかにできない。

実際にプレイしていくと、最初に言ったみたいに、アクションのルート争奪戦になる。5人中だいたい4人がそこに殺到するプレイになる。1人は俺はこのゲーム通だぜといいながら別のルートを開拓しようとするが、あんまりうまくいってるのを見たことがない。

序盤はアクション数が2回なので、置けるコマが2個となり、なかなかルートを独占できない。他のプレイヤーは自分のコマ1つを犠牲にして妨害(相手のコマをどける)ことができるので、同じルートで何人かがひたすら妨害、配置、妨害、配置をくりかえし膠着状態になる。しかしそのうち誰かが、このチキンレースともいえる闘いに勝利し、ルートを独占してレベルアップを図る。もしくは都市を独占する。そうなるまで結構かかる。

しかも、このアクションが増える場所の都市を支配すると、あっというまに名声点がたまるので、まっさきに獲得したプレイヤーの有利なこと。先にここを取られた場合、あのビーチとかでやるダッシュして旗を取るゲームで目の前で旗を取られるような悔しさを感じることができる。すぐに街の支配を取り返さないと、そのままゲーム終了ということにもなりかねない。なんちゅうバランス間隔のなさだ。そうやってくらいつくように、アクション数を増やしていき自分のアクションレベルが3とか4になって納得しはじめると、あとはようやく各地に散らばって思い思いにルートを獲得していくようになる。

そんな感じで、ルートは独占が前提で、妨害が普通に起こるようになっている。アクションルートの競り合い後でも、手番の半分ぐらいは相手の妨害をやっているような感じになる。妨害を想定しつつ計画性をもたないと、何をしているかわからないまま終わってしまった。1回目の自分のプレイはそんな感じだった。

とにかく、自分のレベルや自分の都市の商館の所有状態をみているだけでなく、相手が何をしようとしてるのかを見るという要素がものすごく高い。誰がどの街を狙っているのかというのを常に見張っておく必要がある。完全に放置しているといつのまにか、どんどん名声点を獲得されているような状態になるので、気がつき次第、すぐに相手をつぶしにいかなければならない。やってて思ったのがそういう気の抜けない緊迫感がこのゲームの最大の持ち味かと思う。ざらついたルールを把握しつつ、目に見えない他のプレイヤーの意図を見抜く想像力が必要だ(視認性悪くて都市間のつながりが見にくいし)ボードゲームになれていない人にとってはこのゲームは最悪の部類に属すると思うが、他のドイツゲームでみる、バランスのとれたエレガントなルールで、ほう、とかこれは良いルールだとか言っている人にとっては、目を覚ますことのできるゲームと感じるだろう。

よくあるルールに大味で尖ったひねりがある。そういう印象だった。駄目だなと思える点も多いけれど、そういうところに独創性があり、やりごたえのあるゲームであることは間違いない。何度も何度もプレイしていみると新しい勝ち方の発見があると思う、つまり、ゲームの面白い部分をプレイヤーに託してくれているというゲームだ。その点ではいたれりつくせりの世界の7不思議のようなゲームとは違う。そこは素晴らしい。ゲーム慣れした人達でやると結構面白いと思う。
最後に、忘れていたけれど、ハンザ同盟を描いたヨーロッパの絵のボードの雰囲気はとても良い。古いタペストリーみたいでそこは文句のつけようがない。見にくいけど。

拡張その他


東方追加マッププレイスペース広島様 紹介

日本語ルール

k.bigwheelの日記

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コメント

  1. […] 、 若干の卓シャッフルを加えてハンザ・テウトニカへ。 […]

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