新品ボードゲームドミニオン 日本語版 (Dominion)
デザイナー:Donald X. Vaccarino
Artist: Matthias Catrein
Julien Delval
Ryan Laukat
Harald Lieske
Michael Menzel
Marcel-André Casasola Merkle
Claus Stephan
Christof Tisch
プレイヤー数:2 − 4(推奨プレイヤー数 3)
発売年:2008
時間:30分
言語依存:あり(カードの効果説明の理解必須)
【個人評価】★★★
(世界大会まで開かれる近年最高の話題作、日本語版ボードゲームの発売ラッシュの起爆剤になった)
受賞歴
2008 ミープルチョイスアワード
2009 Diana Jones Award for Excellence in Gaming
2009 フェアプレイ アラカルト賞
2009 ゴールデンギーク賞 ベスト2人用ゲームノミネート
2009 ゴールデンギーク賞 ベストカードゲーム賞
2009 Golden Geek Best Family Board Game Nominee
2009 Golden Geek Best Gamers’ Board Game Nominee
2009 Golden Geek Best Innovative Board Game Nominee
2009 ゴールデンギーク賞 ゲームオブザイヤー
2009 Guldbrikken Special Jury Prize
2009 Hra roku Winner
2009 国際ゲーマーズ賞 ノミネート
2009 日本ボードゲーム大賞 受賞
2009 JoTa Best Card Game Audience Award
2009 JoTa Best Card Game Critic Award
2009 Lucca Games Best Card Game Winner
2009 Ludoteca Ideale Official Selection Winner
2009 Spiel der Herzen, Game of the Year
2009 BoardGamer.ru Card Game of the Year.
2009 Dice Tower Gaming Awards, Best Game of the Year, Winner
2009 ゲーム100選 ベストファミリーストラトジー賞
2009 J.U.G. Winner
2009 オリジン賞 ベストカードゲーム
2009 メンサ セレクト受賞
2009 オランダゲーム賞 ノミネート
2009 ドイツ年間ゲーム大賞 受賞
2009 トリックトラック賞 ノミネート
2009 Vuoden Peli Adult Game of the Year Winner
2010 Årets Spill Best Family Game Winner
2010 Ludoteca Ideale Official Selection
2010 Nominated for the Juego del Año Tico.
ゲーム概要
すさまじい受賞暦である。
ドミニオンが紹介されるとき、ドイツ主要賞3冠(ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム大賞、アラカルトカードゲーム賞)受賞作として紹介されているが、それどころではない。ここに書いてあるだけでなく、細かい賞もいれたら凄い数になる。あのカタンと比較しても、インパクトというレベルで歴史に残るゲームだ。エッセンで世界大会も開催されるようになり、昨年は日本人が優勝したというのは、狭いボードゲームの世界でも飛び切りのニュースだった。
日本語版を製作しているホビージャパンの担当者のインタビューによると、日本語版が1万5千個以上売れたらしい。日本でボードゲームを買うほぼ全員が持ってるんじゃないかとさえ思える数だ。ドミニオンの箱の高さが、7センチぐらいだから、積み上げるとそれ×1万5千。1キロ50メートルだ。その高さはゴジラ20匹ぶんぐらいもある。そういえば今思い出したけど、1999年にエディヒギンズのジャズのCD「魅せられし心」が1万枚売れて話題になったことがあった。ジャズの世界では1万枚はかなりのベストセラーだからすごかった。マイナー度合いではボドゲもジャズCDもだいたい同じぐらいかと思っているので、それぐらいの話題になったわけである。まぁジャズはライブが命じゃない?という別の要素もあるけれど。
これほど人気のゲームであるから、もう説明不要で、散々色々言われてるけど、念のためにルールや世界について簡単にふれておく。
ドミニオンはボードのないカードゲームで、手札をどんどん増やしていき、緑色の勝利点を司る領土カードを多く獲得するのが基本的な目標である。王国カードと呼ぶ25種類のカードから10種をランダム、もしくは任意に選んで場に並べる、王国カードには、それぞれ固有の能力があり、それを獲得して場に出すことでその効力を発揮できる。カードは10枚あり、とれるなら一人で全枚獲得してもかまわない。
それと銅貨、銀貨、金貨とお金のカードが3種ある。さらに、さっき言った、勝利点を司る屋敷、公領、属州という緑のカードがある。この3種のカードを獲得するのが目的。
最初に銅貨7枚と屋敷3枚が配られる。自分の番が来たら、アクションと言って、手札に王国カードを持っていたら場に出して、効果を発動させる。
アクションが終われば、購入、場にあるカードから場に出したカードや手札もっているお金を足してカードを獲得する。獲得したら、次はクリアーといって、場に出したカードと手札を右側に捨て札にして、新たに山札から5枚引く。山札にカードがなければ、捨て札をシャッフルして山札にして足りない枚数を引く。そして次の人の番になる。
などなど、ぱっと聞いただけでは、どんなゲームなのかはすぐ浮かばないが、ものすごく面白く聞こえる言葉や単語、シャッフル、王国、民兵、デッキ、ドイツ3冠が踊る。生粋のデジタルっ子で、ボードゲームなんて何にもしらない弟にドミニオンのことをさらっと説明したら、すぐに食いついてきた。どうやら箱絵も内容もそそるらしい。今度暇な時に一緒にやることになっている。
僕も、ドミニオンを知った時も同じようにトキメイて食いついた。でも人気絶頂の頃で、各地で在庫切れだったのと、日本語版が出るからということで3ヶ月ほど待って手に入れた。そのとき、今最高に話題になっているゲームを手に入れたからやろうと隣人を誘ったのだが、最初のプレイは説明書に書いてあった、堀(Moat)、地下貯蔵庫(Cellar)、村(Village)、木こり(Woodcutter)、工房(Workshop)、民兵(Militia)、鍛冶屋(Smithy)、改築(Remodel)、市場(Market)、鉱山(Mine)を並べた。
今でこそわかるが、この初回のゲームの王国カードは最初にやるには良くない。誰からもアドバイスを受けず、まんじりとやると、このゲームの主目標である属州をとれなくなる。最初はとにかくどれを取っていいかわからず、ばらばらにカードを取るだろう。村が安いし良さそうだからというので取り、市場の方がいいんじゃないかと市場を取り、民兵の強力さに唖然として民兵を取る。結果として、一度も属州を取るのに必要な8金に到達せず、アクションカードだけがひたすらに場に出し続けてシャッフル疲弊することになる。アクションカードの使いかたをちゃんと練習させているといえばそうなのだが、1時間ぐらいゲームが終わらなかった。最終的に3山切れ(どこかのカードが3種類なくなると強制終了)で終わったが、それ以来、このセットででプレイをしたことがない。その家では、ドミニオンは一人で黙々とシャッフルしてカードを並べる「つまらないゲーム」になってしまった。
その人たちとは、むかしセブンブリッジを飽きるぐらいやったので、評価がセブンブリッジの面白さが基準になっている。それに比べるとつまらないというのが彼らのいい分である。トランプの変幻自在ぶりは異常で、カードなら最高峰だというのはわかるが、トランプは愛すべきところを感じない。オールマイティすぎて面白くない。だから比較して欲しくないし、できないと思うのだが、カードゲームをやりだすと、誰かが必ずトランプの話をする。それがちょっといらつく。そう思って評価を聞いたときに、ドミニオンを擁護したが、同時に、確かにこれで徹夜はできないと思えた。飽きると思った。でもボドゲがトランプに負けたみたいでなんか悔しかった。
それでも、何度かやりだすと、彼らも徐々にこのゲームの面白みがわかってきたらしい。必殺のコンボ作り、魔女による呪い合戦、民兵の嫌がらせ作戦。王座の「それ強すぎね」カード。ドミニオンの良いところは、並べたときの今回はどうなるかというドキドキ感。そして、熟練者のまねがすぐにできる、初心者寄りの仕組み。気がつくとなんだかんだで拡張も数個買ってしまった。
しかし、いっぱしのボドゲプレイヤーとなった今、個人としては、ドミニオンに対する個人的な評価は落ち着いてしまっている。ご飯でいうとトッピング違いのオムライスぐらいの感覚で、四、五回も連続でテーブルに出てくると飽きてくる。1枚1枚のカードの絵柄や名称はいいが、全体のテーマとして連想をおこさせないのが不満なのだ。僕がプレイヤーとして、想像力を使うゲームが好きだというのもあるし、シャッフルし続けなければならない忙しさもあまり好きになれない。
とはいえ、安定した面白さがある、特に駆け引きはいつも面白い。いつ名誉点を取りにいくか?というところの駆け引きがである。
いくら金を稼いでも、強いカードを持っても、勝利点を取らないと勝利できないという、最近のほとんどのゲームで採用され続けているインフラ防止の仕組み。
自分の手札を組み立てつつ、それがそのまま自分の得点になるというところのスマートさよりも、初心者にとっては、駆け引きのすべてが、ほとんどそこに集中しているドミニオンが一番学びやすかった。それをしっかり教えてくれたのがドミニオンだった。
拡張がどんどん出て、ついに基本セットだけのセットなる物も出てきた。シャッフルし続けるせいでカードが痛むから、まさかの消耗品ゲームとしての買い直しが発生するゲームである。最近、ヨドバシカメラなんかの大手電気店でも売ってるのを見るようになったので容易に手に入る。もうほとんどのボドゲファンが持っているだろうから、あとはどうやって、一般の人のハートをつかむかだ。これからも、ドイツ3冠とか、ボドゲ代表作と言われ続けるだろう。カードゲームですよ、ボードゲームではないですよと、よけいな事を言わず、ボードゲームの世界の代表作、エッセンスがつまったゲームとして幅広く人気が出てほしいと思う。
拡張その他情報