数エーカーの雪 A few Acre of Snow レビュー

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デザイナー:Martin Wallace
Artist:Peter Dennis
プレイヤー数:2
発売年:2011
時間:60分(初プレイだと120分以上は覚悟)
言語依存:あり(カードの説明と地名は読めることが必須)
【個人評価】★★★
(プレイヤースキルが必要なほどに難しい。ドミニオンの亜流)

受賞歴

2011 ゴールデンギーク ベスト2人用ゲーム
2011 ゴールデンギーク ベスト革新的ゲーム
2011 ゴールデンギーク ベストウォーゲーム
2011 国際ゲーマーズアワード 2人用ゲーム大賞

ゲーム概要

かつて、英仏植民地戦争というものがあった。北アメリカ大陸の支配権をかけて両国で争った戦いで、17世紀から18世紀にかけて行われた戦争のことをいう。
その戦いをテーマにドミニオンの影響を受けて作られたゲームが本作。優れたシステムを使ってボードゲームを作ってみたいと思う夢を実現し、さらに高いレベルでやるとこうなるという良い見本。テーマ、ボード、絵、ルール全てに手抜きがなくて感激する。特にこのテーマの選択は素晴らしく、ワレスの友人である戦史家だというJohn Elisが進めてくれたものだという。

2人用で長時間、かつウォーゲームの様相なので、一緒に遊べるメンツがほぼいないことが想定されたけれど、雪の木陰でカンジキをはいて、銃を持つインディアンの箱絵にノックアウトされたので購入。これこそ、ぜひとも持っていたいタイトル。連れのなんか難しそうという発言に、ドミニオンに毛が生えた程度じゃない?大丈夫だよ、なんて言ったりしてカモフラージュ。ともかく誘って遊んでみた。

まずは、それぞれフランス軍かイギリス軍を担当して、将棋のように向かい合って座る。それから初期から支配している地域に駒を置く、これはわかりやすくて赤色がイギリスで青色がフランス。イギリスならボストンとかニューヘイブンとか。フランスならケベックとかモントリオールとか。ちなみにこのフランスの2地域は史実だと最後にイギリスに落とされるらしい。ちなみに子供を抱きかかえている絵がある都市は後で発展できる地域である。駒を全て並べてみるとなかなか壮観で、指揮官としての気持ちが高まってくる。いっちょ相手をもんだろ。ぐらいの感じ。

で、ドミニオンと同じように手札として、まず5枚配られる。最初の5枚は初期のドローデックカードという10枚ほどの予め決められたカードから配られる。このカードは既に初期配置している地域名のカードや船などがある。面白いのが、それぞれの国のカードの種類が違っている事。イギリスのカードは軍事力が豊かでお金を得られるカードがあり。一方フランスはお金を得られる手段が海賊のみであとは乏しい、地の利とインディアンのカードが入っていて取得しやすいという風になっている。これも史実で軍備で劣勢だったフランスがイギリス側についていた、ネイティブアメリカン(イロコイ連邦)を中立化させて凌いだことによるものかと思われる。他には利用できるカードとして地域カードと帝国カードがある。地域カードは入植したら強制的に加えるカードで、帝国カードは自分でお金を払って獲得するカードがある。これは自分のカード置き場にすぐに確認できるよう表向きに置いておく。

で、肝心のゲームの終了&勝利条件は、「すべての駒、ディスク(丸い駒)をボード上に置いている。もしくは、相手から駒とディスク(丸駒)を12点分(駒は1個2点、ディスクは1個4点)を奪えば終わり。終了した後で、奪った駒プラス、支配している地域の勝利点合算して多くの勝利点を得た方が勝利となる。ちなみに発展させたした地域は倍の得点になる。ちなみに初期の駒数は18個、ディスクは12個ある。なるほど、駒の取り合いと陣取りみたいなものだなと軽く考えたのが間違いの元。そんなに簡単じゃなかった。

初期配置を終えると、まずはイギリス側からプレイ開始となる。プレイヤーはアクションを連続で2回行うことができる。アクションは大きくわけて5つのアクションがあり、どれを選んでもいいし、同じアクションを2回行っても良い。このアクションがとにかく種類がたくさんあって、覚えにくい。地域へ入植するとか、砦を建設とか、お金を獲得したりとか、単にカードを獲得したりとか、ありすぎるぐらいある。1回目はとりあえずよくわからないので、ひたすら互いに空白地域へ入植した。駒を置けるだけ置いて拡大という感じ。終了条件は自分の駒切れだからという理由で。地域へ入植するためにには。まずその入植する地域に隣接する地域のカードを手札から1枚出して、続けてその地域に行くための手段が描かれた(川船、船、荷馬車)のマークのついた2枚目のカードを出す必要がある。(カードの下に絵が書いてる)2枚目のカードの種類はその手段の絵が書いていればなんだってよいので、最初はどんどん入植していける。入植したら、村駒を置いてその地域のカードを自分のカードデッキに加えていく。最初は本当に適当に入植してしまうが、このカードを加えていくルールで、いらんカードがどんどん自分のデッキに増えてしまう。ドミニオンであれば手番ごとに全部のカードを捨てて、新たに引き直せるが、数エーカーの雪はそれが出来ない。持っているカードは持ったままになってしまう。つまり使わない、いらないカードが手札に残りまくるという現象があっさり発生する。これが辛い。

もちろん、捨てる方法は用意されている。蓄積カードという場所があり、手札から1枚その蓄積ゾーンに置けたり、単に1枚破棄したり、総督という2枚までカードを「利用可能なカードデック」に戻せるものがある。でも、それでアクションを1回使ってしまうことになるので、自分の番にカードを捨てるだけみたいな手番がしょっちゅう発生する。これはアカンと思っていたら、向こうでイギリス担当してた連れも同じように眉を寄せていた。「いらんカードばっかりやん!」と。なんかルール間違ってない?とイライラしていた。

それでも、なんとか植民し終えて、空白地がほとんどなくなる頃に、じゃあ戦争しますか!とわざわざ断る必要ないのに相手に断ってから攻め始める。ちなみに、これも後でわかるが、相手の首都を落とすのは極端に難しい。さらに地図上ではルートが全部つながっているが、実際は地域カードが存在してないので絶対に進めない路がある。イギリス軍は中央突破できるようになってるが、フランス軍はカードがないので進撃できない。そんなん最初に言うてくれと!怒りたくなる。 どうも向き合ってるので将棋のごとく自由に進めるかと思えばそうじゃなく。ある程度戦法が限られてくる作りになっていた。これ、難しすぎない?という連れの言葉。僕も思いっきり同感する。

それでも半島の戦いが熱くなってくる。半島はフランス軍が初期は占領しているのだが、イギリスの猛攻をうけやすい箇所だ。船のマークがあるので、軍人だけでなく船のカードが軍事力になるので、じり貧になりはじめる。ちなみに戦闘方法は入植と同じ方法を取る。隣接する地域のカードを出して、移動手段を出す。そして相手の支配している地域に侵入する。これで戦闘開始。さらに軍事力のマークのあるカードを続けて出す。そして、包囲戦マーカーをボード上にある包囲戦トラックに置く。

あとは、互いに自分の手番に軍事力カードを追加していくだけ。攻撃側は初期に中央に灰色のマスに置かれた包囲戦マーカーを綱引きみたいに、自分の側に包囲戦マーカーを持ってくる。軍事力カードの銃のマークの分自分の側にもってこれる。もってこれるだけもってきたら、今度は防衛側(相手の番に)になり、相手も同じように軍事力カードを出して、自分の側にマークをもってくる。そうして自分が攻撃側になった時に(手番が始まる時に)相手がマークを戻せずに、兵力が防衛側より2以上大きければ勝利となる。

ちなみに、自軍側にマーカーを持って来れなければ勝利にならないので、勝ちはしないが負けもしないというずぶずぶの戦闘も可能である。
雪の中で寒さに耐えながら砦攻めをする部隊を想像するところだ。

担当していたフランス軍は軍事力で劣るのである程度、負けなければいいという戦いをしつつ、ネイティブアメリカン作戦を慣行する。これは別の攻撃方法で、相手が防御できるカードを手札に持ってなければ、即座に相手の占領した地域を空白地に戻し駒を奪えるという強さ。これを駆使して反撃するが、それも要塞を建設されるまでのこと。要塞を作られるとネイティブアメリカンの路を通れなくしてしまうのだった。やがて大砲を購入して軍事力全開になったイギリス軍に駒を全部置かれて終了になった。終わるまで3時間以上かかった気がする。へとへと。

終わってから数日後、あまりに難しいので、カードの引き方について調べた。

公開されていてる日本語ルールにはこうある。

アクションを完了したら、プレイヤーは手札が5枚になるまでドロー デックからカードを引きます。カードを引く必要があるときにドローデックが尽きている場合、プレイヤーは捨て札置き場のカードをよく混ぜ、 裏向きの山にして新たなドローデックを作ります。

このアクションを完了したら、というのが1回のアクションごとに補充していいのか、2回目のアクションの後だけ補充できるのかが良くわからなかった。ゲームの停滞を防ぐべく(というよりもゲームを成立させるために)アクションごとにカードの補充を行うことに変更していた。。このルール変更までに2時間以上経過してた。

でも、その後でこのルールでプレイしていたが、あまりに一気に攻め込むことができる状態が発生しはじめた。例えば、攻めた後ですぐさま要塞を築くようなプレイが楽々とできてしまうというような、ネイティブアメリカンで連続ゲリラ戦みたいな事が出来た。そこが、どうも府に落ちない局面が多発したので改めて英語ルールに当たってみると。

After you have completed your two actions you refill your hand to five cards. If you need to draw a card and your draw deck is empty then you shuffle your discard pile to make a new draw deck.

とあるので、毎アクションごとでなく、2回アクションを行った後でカードを5枚に補充するということになる。どうやら最初にやったプレイがヘボだっただけらしい。むずいなこのゲーム!プレイする気合いが失せてもう無理かもしれないと一瞬思う。

ルールを元に戻して、正直言ってやれるかどうか自信がないが、相当考えてプレイする必要がありそうなのは確か。ルールに付録でついていた歴史的解説によれば、両軍共に大西洋に阻まれて増援や弾薬の補給が困難であること、厳しい冬の自然のため、軍事行動が実質5月から9月に限定されていて、さらには移動が川や海路にほとんど限定されてしまってたらしい。最後の戦争である1759年にヴォルテールが、ケベックが陥落したときの一報をうけて、それは「それは数エーカーの雪にすぎない」と言ったという話がある。このたまらん八方塞感。タイトルとしてはカッコいいが、なにも中身まできっちりシュミレートせんでもいいだろうに。

ちまたでは「ブロークンゲーム」などとも呼ばれ、やや破綻したゲーム扱いもありますが、作り込みの凄さと雰囲気の良さと、人を選ぶ、ゲームの尖り具合から個人的は評価は結構今でも高くて、頭の中ではプレイしたいなと時々思う。でも、やる時はストレスを覚悟してやる必要があるのでそうそう出番がない。でも後ろ髪引かれるように、ゲーム棚の一番手前にいつも箱を置きっぱなしにしている。面白いか面白くないかという判断もあるけど、その前になんとか「攻略したい」と思わせるゲームだった。

※公式ルール変更について

作者のワレスとプレイヤー達の交流によって、2版からルールが修正されました。
初期ルールだとイギリス軍が有利すぎるからというのが理由だそうです。
このレベルのゲームをやってる人なら、とっくに確認済だと思いますが、念のため記載しておきます。

第2版修正ルール

・「本国の支援」カードをプレイしたとき、ドローデックに2枚以下のカードしかない場合、プレイヤーはそれらのカードをすべて引きますが、捨て札を混ぜて新たなドローデックを作ることはありません。
たとえばドローデックにカードが2枚しかない場合、プレイヤーはその2枚しか引くことができません。
・プレイヤーは蓄積スペースに地域カードを置くことはできません。
・奇襲を行ったとき、プレイヤーは最初のカード1枚で、任意の支配地域から連絡路1本か2本でつながっている地域を奇襲することができます。さらに追加のカード1枚ごとに、奇襲範囲を連絡路1本
分ずつ広げることができます。
・フランスの「川舟」カードをゲームから除外します。

アマゾンで買いました。

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