ケイラス Caylus レビュー

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デザイナー:William Attia
Artist:Cyril Demaegd Arnaud Demaegd Mike Doyle

プレイヤー数:3 − 5(推奨プレイヤー数3or4)
発売年:2005
時間:60分ー150分(ってことになってますが大抵150分以上)
言語依存:なし
【個人評価】★★★★★
(ルールを覚えるのは大変で、良く間違う。でも最後には必ずもう一回やりたいと言う人が出る)

受賞歴

2005 ミープルチョイス賞 1位
2005 トリックトラック賞 金賞
2006 ゴールデンギーク賞 ゲームオブザイヤー
2006 ゴールデンギーク賞 ゲーマーズ部門受賞
2006 プフェファークーヘル 2位
2006 チェコ年間ゲーム大賞 ノミネート 
2006 国際ゲーマーズ賞 大賞
2006 オランダゲーム賞 大賞
2006 ドイツ年間ゲーム大賞 コンプレックス賞
2006 ドイツゲーム大賞 大賞
2008 Ludoteca Ideale Official Selection
2011 Juego del Año Tico Nominee.

ゲーム概要


今では「ワーカープレイスメント」という仕組みの人気を決定づけたゲームとして有名なケイラス。これを参考にして、大聖堂とかアグリコラが出て、最近だとドイツ年間ゲーム大賞ノミネートの「ターギ」なんかも2人用の珍しいワーカープレイスメント方式として話題になっている。しかし、最初に「ケイラス」をやった時に思ったのは、強烈な「これやったことあるな」感だった。

思い浮かんだのはファミコンの「光栄」の出していた三国志シリーズ。中国の三国時代をシュミレートして群雄割拠の君主になり、多くの部下を従えて中華を統一していくゲームだ。例えば、劉備と担当すれば部下には、関羽や張飛や諸葛亮なんかの名だたる将がいて、自分のターンがくると戦争をしていなければ、内政や軍備を行う際、その将に向かって、命令する。諸葛亮は商業あげてこいとか、関羽に「人材さがしてこい」とか張飛に「・・・知能ひくくてやることないけどとりあえず開墾してきて」とか命令していくのだ。命令するとすぐに結果が数字で帰ってきて、商業値があがって、たくさんお金が入ったり、新しい人材が見つかったりしてそれが国力になる。そういうのを繰り返していって、やがて他国に攻め入って戦争を起こすのだが、この内政の部分がとても似ていた。

「ケイラス」では、自分は棟梁になって6人の職人がつく。この職人を自分の手番に建造物やお城に派遣していくのだが、その辺がそっくりである。ボードゲームはボードゲーム、テレビゲームはテレビゲームの良さが欲しいという気持ちがあるので、このワーカープレイスメントはどうも違うという気がしている。どうもやっててテレビゲームみたいで落ち着かない。もちろんゲームとは違って、数値は出ないし、ボードゲームならではの他プレイヤーとの絡みが発生して、厳密には違うのだけど、今でも「ワーカープレイスメント」というと、あまり買わないし、意欲が減って箱への手が引っ込む。

ケイラスは1289年のフランス王国の国境での城の建設がテーマになっている。時の王様フィリップ4世の命令によって新たな城を建設するというもので、我々が担当する職人が大挙して来ているだが、まだ城下街もできていない。しかし、実際ボードを見ると、二重の楼閣にかこまれた陰気くさい監獄のごとき立派な城がすでにたってんじゃん、という感想を職人全員が持つが、そこは頭の中でなかったことにする。この絵はあくまでイメージであるから、まだ絵に書いた餅である。これは職人たちが夢見ている理想の城ということになる。でも城の建設を手伝いにいくたびに、なぜか罰ゲームの雰囲気が漂う。街の楽しさに比べて城の陰気なこと。

ともかく、我々は棟梁となって、城と街の発展をになっていく。ボードは、ぱっと見で3つの区画にわかれている。左上に位置する例の城、それから右上の恩賞テーブル、それとメインであるなだらかなカーブの路で描かれている街のゾーン。中央には橋なんかかかってて、マス多すぎて嫌気のさしかねない絵も、慣れるとこの牧歌的な絵も好きになってくる。で、ゲームの進行はまずは最初に収入がある。全員そろって2ドゥニエもらえ、邸宅を持っていたり、図書館、ホテルなんかを後に建設すれば追加でドゥニエがもらえる。お金をもらったら、随時職人を派遣していく、自分が建てた建物ならストックに1ドゥニエ払い、他のプレイヤーの建物なら、ドゥニエの支払いに加えて名誉点が1その建物の主に入る。良い建物を建てると有利になる。派遣のルールでさっき言った三国志のようなテレビゲームと違うのは、職人を好きかってに派遣できないところで、既に誰かがいる建築物の上にはおけない。だから基本は、早い者勝ちルールだが、この早く置くためには、馬小屋に職人を派遣しなけらばならず、そのあたりの職人のマネジメントが面白い。早く置くためには自分の職人を一人犠牲にする必要があるが、他にも置きたい。建物は他にも門なる「さいごに移動させていい」という建物だったり、資材をもらえる建物があったりする。長期の作戦が必要で、自分がいかに必要な資材を効率的に集めてくるかを考えるのに面白さがある。






さらに、街だけでなく、城への建築も手伝わなければならない。城は3段階の建設になっていて、地下室、城壁、塔の建設となる。たった3構成しかないの?とつっこみたくなるが、建築を無視してしまうと、「さぼってる」てことで名誉点がマイナスになるので適度に職人を派遣せねばならない。建設の見返りに結構強力な恩賞がもらえるのだが、城の建設を手伝うのは資材が結構かさむので、街に注力するか、城に行って王の機嫌をとりまくるのかは考えどころである。

そうやって、職人を配置し終えると、荘官がやってくる。白く平たいコマであらわされるやつだが、こいつが街にくる。この荘官はなかなかの権限を持っていて、この荘官の位置までしか街の効果が稼働しない。だから彼に賄賂を払って、前方や後方へ移動してもらうことになる。プレイヤーが建物をどんどん路沿いに建てて職人を派遣しても、荘官がその建物よりも遠くにいないと稼働しないというルール。これによってプレイヤー同士の妨害が可能になっている。建物をがんがん建てても、この荘官に賄賂を払って、建物を使えなくするのはなかなか楽しい。賄賂を払い終えて、ご満悦の荘官の位置が決まると、やっと城からこの荘官のいる建物まで順番に建物の効力が発動する。発動する順番は、常に城近くの建物からと決まっていて、取った資材はすぐに使えるから、うまくすると取った資材をすぐに販売ないし交換、その資材で新しい建物建造というコンボっぽい事ができ、決まるとかなりの「やったった感」を感じられる。だいたい中盤ぐらいになると、プレイヤーそれぞれがこのコンボぽいものを開発しているので、全員の顔がやったった感に満ちあふれる。もちろんそれも誰かが荘官でその計算を狂わせるまでだけど。


街のルートに置かれた建物の稼働が終わると、今度はさっきの城のお手伝いの計算である。食料1つと資源3つごとに一つ区画に自分の色の家駒を置ける。うっかり資源が足りなくて、駒が置けない状態になったときには、瞬間的に名誉点2を失うので気をつけねばならない。築城に参加すると駒一つにつき名誉点が5から3もらえ、毎回もっとも手伝ったプレイヤーには恩賞が1与えられるので、参加はほとんど必須なのだが、街の建設の楽しさに比べると、ただ陰気な城に、あいたくもない親族に面会に行ってるぐらいの喜びぐらいしか得られないので、勝ちにこだわる場合は別として、よく派遣するのを忘れる事が多いのが事実だ。





しかし、恩賞は大変すばらしいものがあり、城に行き倒して恩賞を増やしておくと大変有利に働く。建造物や槍試合なんかでも恩賞はもらえるので、恩賞中心の作戦というのも成り立つ。城で媚うりまくって試合に出まくって恩賞で勝利するわけである。街の下々のことなどしらんという感じである。恩賞を管理する恩賞テーブルは右側にいくほどに良いものがもらえるようになっていて、単純な名声点の獲得や、資源の獲得、ドゥニエの獲得、建造物の独占使用の4つある。名誉なら最大5ポイントもらえたり、お金なら7ドゥニエもらえたりする。街で地道にやるよりも強力なので、いくらつまんないと行っても行かなければならない。ちなみに新しく出る他言語版のルールではここらへんのルールが少し変更されているらしい。



最終的に塔の建設の手伝いが終わるか、ターンの進行を表す白い駒の執行官が塔のマスに到達した時点で最終計算となる。

というわけで、他にもここに書いてるだけでなく、建物の個別効果とか細かなルールがあって、面倒くさいのはわかってもらえると思うが、このゲームの中心システムである職人の派遣システム(ワーカープレイスメント)はほんとに人気があるみたいで他のゲームでも多々みられる。この仕組みがすごいのはこのケイラスからいきなり面白かったことだ。いきなり完成していると言ってもいいぐらい良くできている。本当は選択してやってることは複雑なのに、やることが「職人を置くだけ」に限定できるので大変スマートでわかりやすい。個人的には、さっき言ったテレビゲームみたいと思わんでもないが、スマートなのはスマートなので良しとすべきところだ。

他にもケイラスを強く褒めたいところはあって、まず個人ボードがない事がある。すべてがボード上だけで表現されていて、プレイヤーの一体感が強まるのが良い。個人ボードってある意味、ルール上の逃げみたいなところがあると思うので、ボードに全部納めちゃったとうのは本当にすばらしい。プレイ中、みんなで同じ世界を見ているという気になれる。さらに褒めたいのが、このボードのレイアウトである。つまり上か下へ進むというわかりやすさ。ほら、滝好きでしょう?流しそうめん好きでしょう?スカイダイビング好きでしょう?この後戻り不可の、上から下へ路がのびているという単純なデザインは本当にわかりやすい。だいたい他のゲームが円上であったり、同じところをぐるぐるまわるということが多いので、これは非常に評価できる。エレガントであればいいってもんじゃないってことで。

そういえば、いつかのプレイで資源1個差で負けたことがあった。夏の暑い時期で汗をだらだらかいて、熱戦というのにふさわしいゲームだった。その後疲れきって、近くのコーヒー屋にいって涼んだ。そこでプレイの内容を思い返して、あーでもないこーでもないと言っていた。そういう良い思いでのあるゲームだ。2時間以上はかかるがやって損はない。知らないだけかもしれないが、未だにこれより面白いワーカープレイスメントゲームはやったことがない。


拡張その他


・建物:宝石商 (エッセンで配布された建物タイル)
・ケイラスプレミアムエディション なぁ ゲームをやろうじゃないか様の紹介。金貨とか銀貨はすてきだがよけいボードが見にくいとのこと。


日本語ルール
ケイラス 日本語ルール

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