エンデバー Endeavor レビュー

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デザイナー:Carl de Visser Jarratt Gray
Artist: Josh Cappel Klemens Franz Hanno Girke

プレイヤー数:3 − 5(推奨プレイヤー数 5)
発売年:2009
時間:90分
言語依存:なし
【個人評価】★★★
(帝国主義がテーマの勢力拡大を目指すゲーム、植民地とか奴隷とかどことなくダーク)

受賞歴
2009 ゴールデンギーク賞 ベストゲーマーズ部門 ノミネート
2010 ゴールデンギーク賞 ストラトジー部門 ノミネート
2010 チェコ年間ゲーム大賞 ノミネート
2010 国際ゲーマーズ賞 ノミネート
2010 JoTa ベストファミリーゲーム ノミネート
2010 ドイツ年間ゲーム大賞 推薦リスト
2010 トリックトラック賞 銀賞
2010: 金のエース賞 ノミネート
2010: JUG 2位
2010: Juego del Año Tico ノミネート

ゲーム概要・感想


19世紀の西洋列強の帝国主義をテーマにした、陣取りゲームである。陣というよりも地域の産業、文化、財政、政治を模した予め世界に配置されたチップを取るゲームである。それに加え、個人ボードで表現される能力の拡大など、ボードゲーム好きな人が気に入る、面白い要素がつまっている。
エンデバーは日本語版がでている。数年前に日本語版ボードゲームがたくさん出てくる最初の頃に出たせいなのか、それとも箱が暗いからか、あまり目立っていなかった印象がある。今普通に発売されればもっと目を引いたかもしれない。鞄をイメージする箱に船の絵なんて、男のロマンの観点からいえば最高の部類に属する。
とはいえ、受賞歴を見ればわかるようにシルバーコレクターの様相を呈している。ノミネートはされるが、推薦で止まったりしている。大賞を取れない理由は、たぶんテーマに「植民地」とか「侵略」とか「奴隷」が出てきたりするのもあるだろうが、根本的に他に理由があると思う。とても良いゲームだと思うけれど、最高のゲームとはどうしても言えない。そういう感じだ。

ルールを読めば、文句なく面白いゲームに思える。
プレイヤーは個人ボードを持ち、最初はヨーロッパ付近と地中海沿岸の覇権を争うことから始まる。ゲームは7ラウンドあり、各ラウンドは4フェーズに分かれている。アフリカやインドのような異国の世界に乗り出していくまでには、最初のフェーズの建築フェーズで「造船所」などで船を建築できるようになってからだ。それまでは地中海の都市を占領していくことになる。フェーズ1はまずこの「建築フェーズ」で、毎ラウンド一つ建物を建てられる。建物は大学とか市場とかそれぞれ効力があり、当然、自国の発展を有利にしてくれるものばかりだ。中には建てないと行う事ができない占領のようなアクションもあるので、よくよく検討する必要がある。





続いて、2フェーズは人口フェーズである。人口が力だー!と言わんばかりに人口が増やす。人口の増加は各国の壷で表された文化レベル次第で、最小で2人口、最大で6人口づつ増える。この人口マーカーで世界を牛耳っていくので、初期はこの人口数が増える文化度は結構重要だ。

そして、3フェーズ目の給与フェーズ、ビルは建てただけでは機能せず人口マーカーを置かないと機能しない。それを置くためのフェーズ、ここが高いの複数の人口を一気に移動できる。なぜ給与フェーズなのかはよくわからないが、人をのせないと建物が機能しないとか、人を移動できるというのは、名作のプエルトリコを連想させる。



そしてマイボード。とにかくでかい。メインボードが一般的によくあるボードよりもひとまわり小さいが、その分このマイボードがでかく感じる。まず上部にあるのが、能力値で最終得点を兼ねる欄、盤上のチップをとっていく事で能力をあげられる。下は例の建物を並べる場所と、後ででてくる各地域に置かれたカードを置けるスロットになっている。言ったように、マイボードはかなりでかいので、こたつで温まってちょっとやろうぜ、てなことはまるで無理だ。ちなみに誰かが必ずゲーム中に手の甲などをぶつけて、ぶちまけるのでその辺は覚悟しておきたいポイントである(日本語版では少し小さくなってるらしいです)




この3フェーズ目までが、補充とか、考える準備みたいなもので、本番はここからの4フェーズ目である。

4フェーズ目はアクションを行うフェーズであり、このゲームの中心である。占領や航海や攻撃など6種類あって各プレイヤーで順番に、もうやる事がなくてパスをするまで何度でもやっていいルールになっている。このゲームは主に「早いもん勝ち」ゲームなのだが、人口の概念や建物のルールなどで心憎いほどうまく制限されている。



まずは、アクションの「航海」。地中海の各都市の占領が終われば、各自世界を目指して、外海へ出て行く、大陸同士の航海みたいなものは、中国ドラマでよくあるように距離の感覚はからきしなく、あっという間に到着する。場面転換したらもうついたというように。せめて主役にヒゲぐらいはやしてもらいたい。近隣ではアフリカ、遠くでは東アジアなどがあり、到達するための条件は何もない。船があればつくみたいだ。「航海」を選びマイボードから人口駒から一つ、好きな地域にある航路に置けばそれでよいだけ。この辺はスピード感があって、いい点もあるのだが、アブストラクトゲームみたいと言われても仕方がない作りだ。ゲームで一番落胆するところでもある。ここは面倒くさい感じが必要なのではないか?と思ってしまう。ナビゲーターみたいに航海してるという感じは全くない。碁をうってるみたいである。ちなみに、都市だけでなくこの航路にもチップが置いてあり、置けばそのまま獲得できる。



また、コマはカードが置いてある場所から、一番遠くから置く必要があり、すべての航路が埋め尽くされたら、その地域は解放されたことになる。一人で独占してもいいし、数名で置いてもよい。解放されたらどうなるかというと、置いてあるカードを獲得できるようになり、その地域にある都市も占領できるようになる。航路に自分の人口駒を置いたプレイヤーしか、占領もカード獲得もできない。とにかくチップを大量にとるゲームなので、一個までも潜り込ませておくというのも手だし、あきらめて他の地域をめざすのかが悩むところでもある。それと、この配置した人口駒は攻撃できないのがポイントである。いったん置けばもう誰にもとられない。この辺もなんとなくルールのためのルールという感じがする。エレガントなんだけど、なんかこうロマンがない。航海してるのになーという感じだ。

そうして地域を占領し、カードを獲得していくのを繰り返す。やることがなくなればパス。そしてまた別のラウンドとなる。細かくは奴隷カードという特殊なカードもあるが、ちょっとした例外みたいなもので大筋ではあまり機能していない。単に奴隷解放カードが出るまで使っていいというカードというだけで。正直やったときは誰も見向きもしなかった。



7ラウンド、ないし6ラウンド目には、盤上のほとんど全てのチップが獲得されている。そしてこのあたりで世界は一気にウォーゲームの様相を呈してくる。ここはこのゲームの見事なバランス感覚を褒めるところで、まさにお待ちかねである。プレイヤーたちは、各地域の都市と都市を挟み込んだ場合、その間にあるチップを自分のものにできるので、この挟み込みを目指して世界のあちこちで血なまぐさい闘いが繰り広げられる。今までは何となくのんびりしていた雰囲気が、最終ラウンド付近は殺伐とした感じになってくる。目がぎらぎらしてくる。てめーとかうわーとか言って、抜きつ抜かれつ、やられたらやり返せみたいになって、団子状態、横一戦みたいになって最後のテープを切るのである。それまで平和に過ごしていたのが突如として攻撃的になって終わるのである。後味悪いぞこれ(笑 ちなみに、ゲーム開始早々からフェーズ1で「兵舎」を建てると攻撃もできたりするが、おもいっきり出遅れるのでやめておいたほうがいい。他の人がもうアメリカとかに行ってるのに、延々地中海にいるはめになる。

こうして7ラウンド終了した時点で得点計算となる。獲得したものほとんど全部が得点となるが、ボードを見ればわかるので非常に計算しやすい。総合点の多いプレイヤーが勝ちである。






ルールを読んでいても、実際にプレイしていても面白いなと思うのだが、どうにも残らないのはなぜか。個人的な意見としては、ゲームが俯瞰にすぎるとところだった。何かストーリーがあるとしたら、その抜粋だけに終わってる。感情を喚起するための細かさがこのゲームに見えない。このゲームには密度の濃い部分がない。全体の美しさを意識しすぎて、こだわってつっぱった部分に乏しいので何か心にひっかからないのだ。絵柄でカバーしているが各地域にもいまいち個性がない。たぶんその辺が2位どまりになる理由ではないかと思う。評価が低いわけではないし、十分に面白いのだが、やる前の期待とルールの完成度の高さが邪魔して、これ以上の上のレベルのゲームにはなりえないように思える。良く出来てるのでこうしたらどうか、というような変更ルールも特に思いつかず、拡張も出ないだろう。だから、もし誰かにこのゲーム買うほうがいいか、買わないほうがいいか、どう思う?と聞かれたら、もちろんこれは買い・・・でもあのゲーム買ってからの方がいいよ、とかやっぱり答えてしまうと思われる。

拡張その他


今のところ出ていません。

日本語ルール

日本語版が出ています。


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